はじめに
交通、防衛、医療、官公庁向けシステムといった社会の基盤を支える分野から、宇宙やロボットなどの先端分野まで、幅広い開発実績を持つセック。どんなに難易度が高い開発でも、途中で諦めることなく最後までやり遂げる姿勢が、多くのお客様からの厚い信頼につながっています。
その姿勢を象徴する出来事のひとつが、2014年に大手SIer から依頼を受けた、短納期・大規模システムの開発でした。社内でも「過去最大級の難易度」と緊張が走る中、品質を確保しながら見事に完遂。「高い技術力と組織力の結集により短納期開発を実現し、重点プロジェクトの納期厳守に貢献した」として顧客から表彰されるに至りました。
なぜセックは、この難関プロジェクトを成功へ導くことができたのか。当時の3部門合同プロジェクトのマネジメントで中心的な役割を果たした J.S.さんにインタビュー。「粘り強い組織力」や「最後まで諦めない文化」、新入社員が半年かけて機械語(アセンブラ)まで学ぶ「基礎へのこだわり」など、その背景に迫ります。
J.S. 執行役員 開発本部長
A社には、社内でも重点プロジェクトとして扱われる開発案件がいくつかありました。そのうちのひとつが、想定以上に難航していたそうです。化学系企業向けのシステム統合パッケージをまとめるプロジェクトで、A社内の事業部間の連携や要件定義の複雑さなどが重なり、当初手がけていた事業部では開発が頓挫し、別の事業部に引き継がれたものの、そこでもなかなか完了に至らなかったと聞いています。
そこで「セックなら最後までやり切ってくれるだろう」ということで、当社にお話をいただきました。三つの部門が合同で開発にあたることになり、私はそのうちの一部門のマネージャーを担当しました。最終的には三部門が一致団結し、ひとつの大規模プロジェクトを動かす形となりました。開発を成功に導いたことが評価され、A社から表彰をいただいた、というのが経緯です。
やはり、複雑な要件を限られた期間で整理し、実装しなければならなかった点だと思います。既存のシステムが複数あり、それらを新たに大規模パッケージとして統合するという内容でしたが、要件定義の段階ですでにスコープが大きく膨らんでしまっていたんです。さらに、A社内部でも初期開発を担当していた部署と、セックに開発を依頼した部署が異なっており、部署間の連携やコミュニケーションにも相当な苦労があったと伺っています。
セックとしては、既に開発された成果物を一部引き継ぎながら、最終的に高品質な製品として仕上げるという役割を担いました。しかも時間的な制約もある中で、社内でも「これはかなり大変な案件になる」という覚悟をもって臨んだのをよく覚えています。
一番の理由は「最後まで諦めない」社風が組織全体に浸透していることですね。特に大規模案件はイレギュラーが起きやすいのですが、セックのエンジニアにとっては、どんな局面でも粘り強く問題を解決していくのが当たり前なんです。
A社から見ても、想定外のトラブルや要件変更が連発するなかで、セックのメンバーが「この程度ならまだ何とかなる」と動じずに取り組む様子は、相当印象的だったようです。納期が厳しい状況でも、エンジニアがしっかり踏ん張って結果を出す、その姿勢が評価されたのだと思います。
やはり大きいのは新入社員教育ですね。セックでは入社後に約6か月間(※私が入社した当時は8ヶ月間でした)、アセンブラを含む低レイヤーのプログラミングから学ぶという独特の教育を行っています。これによって「コンピュータの動作を根本から理解する」思考が身につき、予想外の問題が発生しても「原因を根っこから解決しよう」と立ち向かえるんです。
また、宇宙や防衛など、致命的なトラブルを許されない開発を長年手がけてきた経験もあり、社内には「決して途中で投げ出さない」姿勢が当たり前に根づいています。そうした土壌があったからこそ、この難度の高い案件にも対応できたのだと思います。
最初は部門ごとに担当範囲を分けて進めていましたが、最後の追い込みでは垣根を取り払って「全員野球」に切り替えました。大規模案件で納期が厳しい場合、部門ごとに分担していては間に合わないことが出てきます。
そうなった時に、セックのエンジニアは「誰がどこを担当」という枠を超えて、最優先の課題を解決しようとします。担当外だから関係ないという意識はなく、全員で集中的に問題を解決することに注力しました。これは上司やマネージャーが「最もクリティカルなところをみんなで助け合う」文化を当たり前にしているからだと思います。
そこもセックならではの文化で、納期を守る意識や品質を保つ姿勢が昔から根づいています。当社の開発は「一度ミスが起きれば大きな問題につながる」領域が多い。そういう領域で多くの実績を積んだことが大きいと思います。
大企業でも途中でプロジェクトを切り捨てたり、納期を諦めたりするケースがありますが、セックの場合、本当にギリギリまで粘って納期を守ることを「当たり前」と考える社員が多い。そこがA社にも「すごく粘り強い」と評価された理由の一つでしょう。
近年では、高レイヤー言語やフレームワークを使って効率的に開発を進めることが主流ですが、セックの新入社員教育ではそうした手法は取らず、「コンピュータの本質を習得する」ことを重視しています。マシン語レベルまで理解していると、「どういう命令の組み合わせでCPUが動作しているのか」「どのようにメモリが使われていくのか」といった、プログラムの動作を具体的にイメージできるようになるんです。
大規模なシステムで不可解な不具合が起きると、その原因究明は困難を伴いますが、セックのエンジニアは表面的な不具合対応にとどまらず、根本原因まで突き止める強さがあります。結果として、トラブル対応がスムーズに進み、納期を守りやすくなる。この徹底した「基礎力」こそセックのエンジニアの強みだと思います。
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4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
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実践教育 |
[ソフトウェア基礎]
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[プログラミング演習] 仮想コンピュータ(コンピュータのシミュレータ)の設計・製作に取り組む。開発手法について習得するとともに、コンピュータやプログラムの動作原理について理解を深める。 |
[システム構築演習] リアルタイムシステム(即時性の要求されるシステム)の設計・製作に取り組む。力のある者は簡易オペレーティングシステム(OS)の設計・製作にも取り組む。 |
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技術基礎教育 |
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ビジネス基礎 |
ドキュメンテーション、ビジネスマナー、問題分析トレーニングなど |
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新入社員教育カリキュラム
どんなに厳しい条件の案件でも「最後まで投げ出さない」ことでしょう。大規模開発では途中で破綻したり、仕様変更を繰り返したり、混乱するケースが少なくありませんが、セックはそれを乗り越える力を持っています。A社からの表彰も、その粘り強さを示す良い証明になったと思います。
また、今後需要が拡大する社会インフラやAI、宇宙、ロボット分野においても、セックの「基礎にこだわる技術力」と「リアルタイム技術」が大きく活かされるはずです。複雑化するDX案件でも、トラブルを乗り越えて納期を守る ―― そんな頼れるパートナーになれると確信しています。
大手SIer A社の重点プロジェクトを、セックが限られた時間の中で高い品質を保ちながら完成させた ―― これは単なる「技術力」の高さにとどまらず、粘り強い組織文化があってこそ実現できた成果です。
大規模開発は、その複雑さゆえにトラブルが発生しがちですが、セックでは新入社員の段階から原理原則を理解する教育を徹底し、社員一人ひとりが「問題をどうすれば本質的に解決できるか」を常に考える土壌があります。さらに、「納期と品質を両立させること」を当たり前とし、どんな局面でも責任を持って完遂することを信条としてきました。A社からの表彰は、そうした企業姿勢が評価された象徴的な出来事だったといえるでしょう。
「最後まで諦めない」―― 徹底した基礎に裏打ちされた技術力とリアルタイム技術、そして粘り強さで、困難なプロジェクトであっても着実に成果を出す。 それが私たちセックです。
(取材・文/セック・広報担当)
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