はじめに

官公庁向けのシステムの開発から、防衛関連、民間企業の基幹システム、さらにはロボット分野まで ― 多岐にわたる分野でプロジェクトを率いてきたK.K.さん。当社が官公庁ビジネスに注力する背景や、プロジェクトマネジメントにおける価値観、そして宇宙から社会基盤へとエンジニアとしての志向が変化した経緯などについて話を聞きました。

INTERVIEW

K.K.  開発本部第三開発ユニット プロジェクトマネジャー

セックの「信頼の源泉」とマネジメントの要

まずは、K.K.さんが所属する第三開発ユニットがどのような組織なのか、教えてください。

第三開発ユニットでは、官公庁向けのシステムの開発を中心に、防衛関連や、大手SIerや通信事業者向けのシステム開発など、ロボット分野を含む多様なプロジェクトを手がけています。私は現在、官公庁関連の案件を主に手掛けていますが、いずれも社会的責任が大きい分野ですので、日々の丁寧な対応と徹底した品質管理を重視しています。

官公庁案件は特に信頼が重要視されると聞きますが、セックが評価されているポイントは何だと思いますか?

顧客の要望や課題を丁寧に拾い、最後までやり抜く責任感を大切にしている点だと思います。この点は、官公庁向けであっても、民間企業向けであっても変わらないと思っていますが、セックの社員は真面目で、粘り強い風土があって、「責任を持ってやり切る」という意識が、お客様から信頼を得ているのかなと感じています。
他の企業が途中で開発を断念してしまったり、受注をためらったりするような案件でも、私たちが「困っていらっしゃるのなら何とかします」と手を挙げて、対処してきた実績が、当社への強い信頼に結びついているんだと思いますね。

新卒で入社した当初は宇宙分野を志望していたとか。今は社会基盤分野ですが、どういう変化があったのでしょうか

私は大学院で地球外の観測や惑星の環境実験をしていて、宇宙関連に興味があったんです。新人研修中に、配属先になる各開発部門の説明を受ける機会があるのですが、社内基盤分野の開発の話を聞いて「社会や生活基盤を支える仕事もいいな」と惹かれまして(笑)。
いざ配属されてみると、社会基盤分野での高品質や信頼性へのこだわりはすごくやりがいがあると感じましたね。自分自身の興味もいつの間にかそちらにシフトして、今も社会基盤分野を中心に携わっています。

今、セックの売上高に占める社会基盤システムの割合が拡大しています

全体の売上に対して、5割近くを社会基盤システムが占めています。官公庁向けの開発については、2010年頃からじわじわと案件数が増えてきて、今ではセックを支える重要な柱に成長しました。防衛案件やロボット分野も含め、品質の高いものを継続的に納めてきた実績が評価されているのだと思います。

プロジェクトをマネジメントするうえで大切にしている考え方は?

私は「現場にできるだけ裁量を与え、必要以上に口を出さない」ようにしています。若手時代に先輩から「好きにやってみて」と任せてもらった経験が成長の糧になったので、それを今のチームでも実現したいんです。
もちろん、万一の際には、私が前面に出て対応を行い、時にはお客様への謝罪も含めて責任を持ってフォローします。そうすることで、メンバーが安心してチャレンジできる環境づくりを心がけています。

開発規模が大きい案件について、忙しさや人員不足にはどのように対応しているのでしょう?

そこは、一緒に開発をしてくれるパートナー企業との連携が不可欠です。官公庁案件に限らず、パートナー企業を組み入れた開発というのはあったわけですが、官公庁案件が増えるにつれ、パートナー企業と継続的かつ密に連携していく体制が必要になってきました。
社内メンバーの配置にも工夫しています。各メンバーが1つの案件に固定されるのではなく、状況に応じて柔軟に役割を移行できるようにするなど、最適な体制を意識しています。そうすることで、限られたリソースのなかでも品質を保ちながら、確実にプロジェクトを進められるよう工夫しています。

粘り強さや真面目さが、セックの強みになっているのでしょうか?

そう思います。たとえば他社が途中で開発をギブアップしてしまったような難易度の高い案件でも、「品質は絶対に下げない」という姿勢で最後まで走り切るんです。社内には、品質を確保するためのノウハウが蓄積されていますし、問題が起きたときも組織の壁を越えてサポートし合う風土があります。
そうした「あきらめない文化」が、官公庁や民間企業向けのシステム開発で大きな信頼を勝ち取ってきたのかな、と感じますね。

今後、力を入れていきたいことは?

人材の育成です。
官公庁向けの開発でもクラウドの知識や有資格者のニーズが高まっているので、クラウドに強い人材ももっと増やしていきたいですし、インフラから保守運用、提案、と流動的な編成に耐えられる強いチームにしていきたい。「困ったらセックに頼めば間違いない」と思っていただけるような組織・体制をつくっていきたいと考えています。この分野なら第三開発ユニットと言えるような軸となる技術・分野も欲しいですね。


官公庁案件は入札で結果が決まるとは言え、価格だけで決まるものばかりではありません。技術提案や実績を含めて落札結果が決まるものもあり、セックはそのような入札案件を得意としています。そういう点では一期一会ではなく、公示前段階から受注につなげる活動をして成果になっているものや、リスクを負って飛び込んで、良い仕事をした結果リピートにつながっているものも多く、その辺りは民間案件と同じかな、と。
顧客のNo.1パートナーとなるにふさわしい仕事や振る舞いができるような人材の育成を進めていきたいと考えています。

おわりに

「困っているなら何とかします」。この言葉は、取材中に何度も耳にした、セックの顧客に対する姿勢を象徴するものでした。

防衛や官公庁といった社会インフラの根幹を担うプロジェクトは、常に高い責任と緊張感を伴います。そんな中でも、K.K.さんをはじめとするプロジェクトマネジメントにあたるメンバーたちは、現場に裁量を与えながらも、リスクを冷静に見極め、必要な場面ではしっかりとフォローに入る体制を築いています。

今後、社会課題が複雑化し、技術の要求水準がさらに高まっていくなかでも、私たちは「最後までやり抜く責任感」と「チャレンジする風土」の両方を大切にしながら、より強い組織へと進化していきます。K.K.さんは、まさにその中心にいるエンジニアといえるでしょう。

(取材・文/広報担当)