背景と目的

米国主導のアルテミス計画をはじめ、世界各国で月面における持続的な活動拠点の構築に向けた取り組みが加速しています。将来の月面活動を実現するためには、地球からの物資輸送に依存しない月面資源の有効活用が重要な課題となっています。

こうした背景のもと、株式会社セックは、国立大学法人東京大学を代表機関とし、立命館大学等と連携する産学連携チームの一員として活動しています。現在、JAXAが公募する「宇宙戦略基金事業(第二期)」で採択された研究開発プロジェクト「技術開発テーマ/探査等(月面インフラ構築に資する要素技術)」(課題名:「水・金属元素探査装置のフライトモデル開発と月面資源量の実測」)に参画しています。本プロジェクトでは、月面に存在する水や金属元素などの資源をその場で計測・評価する観測装置を開発し、将来の月面探査および月面インフラ構築に貢献することを目的としています。

研究内容

本研究では、月面の広域的な鉱物分布を把握する広角分光カメラと、微細鉱物の種類や組織を詳細に解析する顕微分光カメラの開発に取り組んでいます。これらの分光カメラは、可視から近赤外領域にわたる分光情報を取得することで、月面の岩石やレゴリスに含まれる資源元素の分布や組成の解明を可能にします。

月面は、大気がほとんど存在せず、昼夜で200℃を超える温度差や強い放射線環境にさらされる極めて過酷な環境です。このような条件下においても安定して動作する観測装置を実現することが、本研究における大きな技術的挑戦となっています。

株式会社セックは、本プロジェクトにおいてシステムインテグレーションおよび制御ソフトウェア開発を担当しています。これまで科学衛星や月面ロボットなど、多くの宇宙機搭載ソフトウェアの開発に携わってきた経験を活かし、分光カメラの安定動作や高信頼なデータ取得を支えるソフトウェア技術の開発を通じて、本研究に貢献しています。

開発する観測装置を用いた資源探査のイメージ
拡大
広角分光カメラおよび顕微分光カメラを含む観測装置を用いた月面資源探査のイメージ

期待される成果と今後の展望

本研究で開発される分光カメラは、月面資源探査の高度化に貢献するだけでなく、将来の有人月面活動や月面基地建設に必要となる地質・資源データの取得にも寄与することが期待されています。セックは、本研究開発を通じて培われる宇宙機搭載ソフトウェア技術を、今後の宇宙探査ミッションや関連分野へと展開し、持続的な宇宙利用の実現に貢献していきます。