背景と目的

セックの宇宙分野への取組みは、 1971年にリアルタイム制御が必要となる「固体燃料ロケットの燃焼試験⽤システム」の開発から始まりました。その後、大型望遠鏡の観測制御システム、宇宙機搭載システム、地上系システムと対応領域を広げ、創業以来50年を超えて宇宙分野に携わってきました。

宇宙分野でのソフトウェア開発には困難なチャレンジがつきものです。本研究では、荒唐無稽ともとれるチャレンジャブルな課題を自ら設定し、課題の解決に必要となる技術を調査、検討し、実証してくことを目的としています。

構想

「ソフトウェア技術で宇宙開発の課題を解決する」

ソフトウェア技術の発展は、社会を⼤きく変⾰するもので、宇宙分野も例外ではありません。
各分野で培ったリアルタイム技術をシステムズエンジニアリングと融合させ、宇宙分野における課題を解決していくことが全体構想です。

「Space HAX Project」

この構想を具現化すべく、セックは「Space HAX Project」(=宇宙+Hacks+Agile Transformation(AX))と名付けた研究活動を行っています。宇宙開発における最大の課題は「輸送」です。
この課題に対して、たとえばSpace-X社は世界で初めて再利用可能なロケットを実用化し、輸送コストを劇的に下げました。
セックは「Space HAX Project」において、ソフトウェア技術の適用範囲を宇宙機全体に拡大することで、輸送問題を解決しようと試みています。

研究開発内容

1. ソフトウェア技術の適用範囲拡大

ソフトウェアは通信によるアップデートで機能が追加され、さらに進化させることが可能であり、輸送を必要としません。
ソフトウェア技術の適用範囲拡大とは、この輸送を必要としない変化・進化という考え方をFPGAやプリンテッド・エレクトロニクス、3D/4Dプリンティングなどの技術を用いることで、ハードウェアやメカにまで適用するというものです。地球から輸送することなく進化できる宇宙機を作ることができれば、資材の輸送量を軽減することが可能です。

2. 外部研究会活動

セックはさまざまな研究会に積極的に参画し、 JAXAを始めとした多く の企業及び団体と宇宙分野の発展に向けた研究活動を⾏っています。各研究会では、セックが持つリアルタイム技術の活⽤が期待されています。また、他企業・団体との交流を通して、知⾒の共有や技術の向上に努めています。

  • フロンティアビジネス研究会
    フロンティアビジネス研究会は、産業界主導による宇宙資源ビジネスの市場創出を目指し、2016年に株式会社三菱総合研究所と株式会社ispaceが発起人となって設立され、セックは2019年から参加しています。

    セックはフロンティアビジネス研究会で「ロボット・ ⾃動化/⾃律化ワーキンググループ」を進めています。このワーキンググループでは、 ⽉⾯でのロボット適⽤、ロボットによる⾃動化/⾃律化がどうあるべきかについて、来たるべき将来にむけて検討し、成果を外部公表しています。
  • 衛星DX研究会
    衛星DX研究会は、衛星のデジタル化に向けた知⾒の共有・議論の場です。
    本研究会で、セックは特に「衛星のソフトウェア化(デジタル化)」において研究活動をしています。

    小型技術刷新衛星研究開発プログラム 衛星DX研究会
    https://www.kenkai.jaxa.jp/research/sasshin/dx.html