背景と目的

ロボットを自律移動させるために必要な、SLAMや自己位置推定に対するアルゴリズムおよび、自律移動の精度やロバスト性を向上させるための研究を行っています。 
昨今、運輸業を始め建設業や製造業などあらゆる分野で人手不足が取り沙汰されており、ロボットによる自動化・省力化への要望は強まっているなかで、現状では複雑な作業を完全にロボットで自動化することは難しいことから、まずは物を運ぶような複雑さのない単純な作業について自動化を測りたいというニーズが強いことに着目して、ロボットを、変化する環境中を人と同等に移動できるようにすることが自動化の第一歩であり今後の人手不足解消におけるキーとなると考え、本研究を開始しました。 

構想

本研究開発の成果は、セックの製品の一つである、屋内自律移動ロボットソフトウェア「Rtino」(アルティノ)へとフィードバックし、Rtinoの製品価値向上を行っています。またRtinoを販売した顧客から得られる、現場での運用についての、リアルな意見や課題をインプットに、新たな機能の研究開発も行っています。

研究開発内容

1.ロバスト性向上に関する研究開発

本研究開発ではROSのnavigationをベースに自律移動を実現していますが、狭路での走行や壁際での走行での安定性に難がありスタックしてしまうケース、また、人の目から見たとき不自然で非効率な動きをすることで、結果としてスタックしてしまうケースも多くありました。このような、特定の状況下での経路計画のアルゴリズムについて改善を行うことで、より自然なロバスト性の高い自律移動を実現するための研究開発を行っています。

2.自律移動に関連する新規機能の研究開発

自律移動を実際の現場で運用するにあたり必要となってくる機能について、現場運用のフィードバックなどを受けて、社内でその必要性などを議論したうえで、実現のための研究開発を行っています。その成果としては、エリア設定による細かな制御、より精度の高い移動やLiDARによる自己位置推定を利用しない移動方法、牽引台車への対応やステアリング制御への対応など、多岐にわたり、その内容はRtinoへとフィードバックしています。